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特別永住者の帰化申請について
特別永住者の帰化申請について
特別永住者の帰化申請には、簡易帰化という言葉が使われています。
簡易帰化という言葉を聞くと「特別永住者の帰化申請手続きは簡単なのか」と勘違いしてしまう方もいるのですが、そうではありません。
簡易帰化とは、帰化の条件のハードルが下がるという意味であり、帰化申請手続きの難しさは一般の外国人の帰化申請と何ら変わりません。
むしろ長い間日本に住んでいる特別永住者の方が、一般の外国人よりも証明する書面が多くなり、書類作成に関するボリュームが大きくなるので、手続きの煩雑さは増します。
では、特別永住者が帰化する時に注意すべき点はどこなのでしょうか。
特別永住者の方は、帰化の条件をあまり気にする必要はありませんが、以下2点は注意しなければなりません。
- 「素行条件」
- 「生計条件」
「素行条件」と「生計条件」と言われてもピンとこないと思います。
簡単に言いますと、しっかり税金や年金を払っているのか。交通違反や犯罪歴はないか。安定した生活が送れているのかということです。
以下で具体的に説明していきます。
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特別永住者が帰化申請する時は素行条件に注意
まずは、素行条件について確認しましょう。先ほど説明した通り、税金や年金の滞納はないか。重大な交通違反や犯罪歴はないかについてです。
会社員の方と法人経営者・個人事業主の方に分けて税金や年金の支払いにについて説明していきます。
会社員の方の住民税について
住民税とは、区民税や市民税のことです。会社員の方は、会社の給与から天引きされているケースと自分で役所に支払わなければならないケースがあります。
会社の給与から天引きされているかどうか給与明細を見て確認しましょう。
天引きされていない方は、自分で役所に支払わなければならないので注意が必要です。住民税が未納では、帰化が許可されませんので、必ず支払うようにしてください。
また、ご結婚されている方は、配偶者の納税証明書も提出することになります。
自分は住民税を払っているから大丈夫と思っていたが、実は配偶者が滞納していたという特別永住者の方も見受けられるので注意してください。
さらに、住民税で気を付けなければならないのが「扶養」です。本来は扶養に入れることはできないにもかかわらず、扶養に入れてしまっているケースがあります。
扶養に入れている方の年収が一定額以上だと扶養に入れることはできません。
扶養に入れている方がいる場合は、適法に扶養に入れているのか確認しましょう。もし、適法でなかったのなら、修正申告が必要になります。
そして、支払うべき税金も不足していることになるので、不足分の税金に関しても追加で支払い、扶養を外した未納なしの納税証明書を取得しましょう。
会社員の方の年金について
2012年7月の法改正で、年金を支払っているかについても帰化の審査ポイントとなりました。
勤務先で厚生年金に加入しており、給与から天引きされている方は問題ありませんが、勤務先が厚生年金に加入していない方は注意が必要です。
勤務先が厚生年金に加入していない場合は、国民年金を支払っていなければなりません。
中には、「私は特別永住者で日本人ではないから払う必要ない」と思っている方もいますが、それは間違いです。
日本に住んでいる以上、国民年金の支払い義務があります。支払いをしていない方は、帰化申請をする前に、過去1年分を支払う必要があります。
法人経営者・個人事業主の方の住民税や年金について
法人経営者や個人事業主の方は、個人としての住民税の他に会社に対して課税される各種税金をしっかりと払っていることが必要です。
法人の経営者の方で、会社として厚生年金に加入義務があるのに未加入の場合は、素行不良として帰化は不許可になってしまいます。
未加入の方は、厚生年金に加入し1年経過するまで、帰化申請を待つ必要があります。
帰化申請における交通違反と犯罪歴の影響について
次に、交通違反と犯罪歴についてですが、簡単に言えば警察に捕まったことがあるかどうかです。
これから帰化申請を考えている方で一番多いのは、交通違反だと思います。
交通違反は、過去5年分の記録をチェックされます。なので、違反から5年経過していれば、基本的に問題ありません。
どの程度の交通違反だったら帰化申請に影響が出てしまうのか。
それは、軽微な交通違反か重大な交通違反かによっても変わってきます。
例えば、一時停止違反や路上駐車などの軽微な交通違反でしたら、過去5年間で4件以内であれば、問題なく許可になる場合が多いです。
ただし、直近2年間で4回以上軽微な交通違反があると不許可になる可能性が高くなります。
明確な基準はないのですが、特別永住者の方の交通違反については、一般の外国人よりも大目に見てくれる雰囲気を感じます。
飲酒運転などの重大な交通違反が1回でもある場合は、相当期間が経過しないと帰化が認められません。
重大な交通違反がある方は、罰金を払い終えたから5年経過後に帰化申請を行いましょう。
よくある犯罪歴としては、万引きや酔っぱらっての喧嘩があります。この場合、20~30万円の罰金であれば、3年以上の経過が必要と考えられます。2回あれば、倍になり6年以上の経過が必要となります。
罰金刑などの犯罪行為については、一般の外国人の場合は、その犯罪行為によって在留資格の更新ができなくなり、帰国せざるを得なくなります。そうすると帰化申請をすることはできません。
特別永住者は、帰化申請に関しては、条件面で優遇されていると思います。
特別永住者が帰化申請する時の生計条件について
生計条件とは、安定して生活できる基盤があるかどうかということです。自分・配偶者・両親・その他親族の収入により生活が成り立っていれば問題ありません。
借金についてですが、住宅ローンや自動車ローンなどがあったとしても、返済を滞りなく行っていれば問題ありません。
消費者金融などからの借り入れがあっても、普通に返済できる額であれば大丈夫です。
自己破産したことがある方については、7年経過するのを待つ必要があります。
特別永住者の帰化申請でよくある質問
Q:韓国語が全然わかりません。韓国現地に行って書類を取得する必要がありますか?
A:韓国現地に行く必要はありません。日本にある韓国領事館で取得可能です。韓国領事館へ直接行くことができない方は、郵送でも請求することも可能です。
Q:朝鮮籍で韓国戸籍がないのですが、帰化は可能ですか?
A:可能です。朝鮮籍の方は、韓国の戸籍がありませんので、本国の書類がかなりの割合で取得できません。取得できないものはどうしようもないので、免除になることがほとんどです。その場合は、集められる書類だけで申請を進めていきます。
Q:兵役を終わらせないと帰化できませんか?
A:日本生まれの特別永住者の方は、兵役は関係ありません。帰化できます。
Q:韓国語の翻訳ができません。本国書類の翻訳は絶対に必要ですか?
A:必要です。本国書類は全て日本語に翻訳しなければなりません。自分で翻訳できない方は、翻訳会社や行政書士事務所に頼む必要があります。